
大改定を完全解説
2026年6月1日、マレーシアの外国人向け就労ビザ(Employment Pass / 雇用パス)の要件が大幅に改定されました。最低給与がほぼ2倍に引き上げられ、在留できる最長年数も初めて法定化されるなど、マレーシア就職を検討する日本人にとって「知らなかった」では済まない変更です。本記事では①給与条件の変更、②カテゴリー1〜3の違い、③これから就職を目指す人の戦略、④必要な英語力、⑤現在マレーシアで働いている方向けのセーフティネット情報を丁寧にまとめました。

マレーシア内務省は2026年1月に正式発表し、同年6月1日から新基準が適用されています。最低月額給与がすべてのカテゴリーで約2倍に引き上げられ、雇用パスの在留最長年数も初めて明確化されました。
最低給与基準が2倍になっても、実際の給与が自動的に上がるわけではありません。企業側が「外国人を雇い続けるコスト」を払えない場合、更新しない・ローカル人材に切り替えるという判断が増える可能性があります。また、今回の改定は「2026年6月1日以降に申請・更新するEP」から適用されます。現在有効なビザへの遡及はありません。
マレーシア政府がこの改定を行った背景には、第13次マレーシア計画に掲げた「高度人材偏重・外国人依存の解消」という国家戦略があります。低コストで外国人を雇用することを難しくし、マレーシア人材の優先採用を促す意図です。

EPには3つのカテゴリーがあり、給与額だけでなく役職・責任範囲・スキルレベルも審査の対象になります。今回の改定でカテゴリー区分と役職の序列がより紐づきやすくなりました。
- 月額 RM20,000 以上
- CEO・取締役・部門長クラス
- 家族帯同ビザ:取得可
- 家事使用人(メイド)雇用:可
- 最大在留:10年
- 月額 RM10,000〜19,999
- マネージャー・スペシャリスト
- 家族帯同ビザ:取得可
- サクセッションプラン(後継者育成計画)の提出が必要
- 最大在留:10年
- 月額 RM5,000〜9,999(製造業はRM7,000〜)
- 技術職・一般専門職
- 家族帯同ビザ:新規申請より可(改定で追加)
- 内務省の事前承認が必要なケースあり
- 最大在留:5年
カテゴリーIIIは外国人が申請できる最もハードルが低い区分ですが、マレーシアには「ローカル人材で代替できる業務は外国人NG」という基本原則があります。単純事務・英語のみのサポート業務はこれに抵触するリスクが高まっています。「日本語対応が必須」「日本人でなければならない業務」であることを明確に証明できるポジションが審査に通りやすくなっています。
また、カテゴリーIIとIIIではサクセッションプラン(現地人材への後継者育成計画)の提出が義務化されています。これはビザの"時限付き性質"を示すもので、最長年数が過ぎたら原則として現地人材に業務を引き継ぐことが前提となっています。

給与ハードルが上がった今、「日本語が話せる」だけを武器にするのは難しくなりました。どのカテゴリーを狙って動くかを意識したキャリア設計が不可欠です。
日系BPO・ITサービス・人材コンサルティング業界でのチームリーダー・スーパーバイザー・プロジェクトマネージャー職は、日本語+専門性の両立でRM10,000超のオファーを得やすいポジションです。単なるオペレーターではなく、現場を「教え・仕組み化できる立場」を目指しましょう。
現地に精通した日系の人材紹介会社を通じた求職は、EP申請サポートまで一体化しているため安心です。自力でLinkedIn応募するより、エージェント経由でEP申請ノウハウも含めて伴走してもらうのが現実的です。
長期的にマレーシアに根を張りたい場合は、EPからResidence Pass-Talent(10年更新)やPVIP・プレミアムビザプログラム(20年更新)への切り替えも選択肢です。EPが使える10年間のうちに、この移行を計画的に行うキャリア設計が今後のスタンダードになるでしょう。
書類審査の段階で英語力を証明できると大きく有利になります。面接を英語で乗り越える実戦力が採用の分かれ目です。次のセクションで詳しく解説します。

マレーシアは英語を公用語のひとつとして使う多言語国家です。職場での会議・メール・報告書は英語が基本となります。カテゴリー別に求められるレベルの目安を整理します。
特にカテゴリーIIを狙う場合、グローバル企業の採用基準はCEFR B2以上(TOEIC 700〜800・IELTS 6.0〜6.5)が目安とされています。ただしスコアはあくまで「入り口」。面接でパニックにならず、論理的に自分の実績を英語で語れるかどうかが採用の分かれ目です。
マレーシアではTOEICはあまり知られていません。国際的な場面ではIELTSのスコアの方が共通言語として機能しやすいです。
英語力を一番コスパよく・短期集中で伸ばせる手段として注目されているのがフィリピン留学です。英語圏と同等の環境でマンツーマン授業を受けながら、欧米留学の10分の1程度のコストで英語力を飛躍的に向上させることができます。特にスピーキング力・実践的なコミュニケーション力はビジネス面接で即戦力となる英語力が身につきます。

「今持っているEPが突然無効になるの?」という不安の声が多く聞かれます。結論から言えば、今回の改定には遡及(そきゅう)適用はありません。ただし、更新時には新基準が適用されます。
①現在の給与がどのカテゴリーの新基準に該当するかを確認する
②EPの有効期限と次の更新時期を把握する
③雇用主と事前に「更新時の給与見直し」について話し合う
④もし基準を満たせない可能性がある場合は、早めに専門機関(入管コンサルタント・人材エージェント)に相談することを強くおすすめします。
EP以外のビザへの切り替えも含めて、長期的なビジョンで「マレーシアでのキャリア設計」を見直す良いタイミングだと言えます。Residence Pass-Talent(RP-T)は10年更新で就労・ビジネス双方が可能なため、高いスキルを持つ方には有力な選択肢です。
2026年6月のマレーシア就労ビザ(EP)改定は、単なる給与基準の引き上げではなく、「高度人材だけを受け入れる」という国の意志表示です。
カテゴリーI:RM20,000以上、カテゴリーII:RM10,000〜、カテゴリーIII:RM5,000〜(いずれも約2倍の引き上げ)
全カテゴリーで在留最長期間が法定化(カテゴリーI・IIは10年、IIIは5年)
全カテゴリーで家族帯同ビザの申請が可能に
これから就職を目指す人は「日本語×専門スキル」かつCat.II以上を戦略の軸に
英語力はTOEIC700〜800(IELTS6.0〜6.5)以上が実用的なスタートライン
現行EP保持者は遡及なし・更新時に新基準が適用
英語力はマレーシア就職の最大の武器であり、最大の壁でもあります。スコアを持つだけでなく、実際に英語でコミュニケーションを取れる力を磨くことが、ビザ要件をクリアするための最短ルートです。そのためにも、コストパフォーマンスに優れたフィリピン留学での英語強化は、マレーシア就職への現実的なステップとして多くの方に選ばれています。
「自分はどのカテゴリーになるの?」という疑問を持つ方のために、実際の業種・職種の目安をまとめました。給与額と役割の両方が審査されるため、ポジション名と職務内容の整合性が重要です。
外資系BPO Country Head
IT企業 CTO / CFO
金融機関 Regional Director
コンサルティングファーム パートナー
半導体・電子部品 Vice President
ITエンジニア シニアエンジニア
デジタル広告 アカウントマネージャー
人材紹介 シニアコンサルタント
製造業 品質管理マネージャー
金融・保険 ファイナンシャルアナリスト
不動産 プロジェクトマネージャー
ECサイト運営 コンテンツ責任者
日本語コンテンツモデレーター
製造業 日本語通訳・コーディネーター
日系企業 バックオフィス(日本語必須)
旅行・ホスピタリティ 日本語スタッフ
Webコンテンツ管理(日本語サイト)
EPで最長10年働いた後、または高いスキルを持つ方が長期的にマレーシアに腰を据えたい場合の選択肢として、Residence Pass-Talent(RP-T)とPVIP(プレミアムビザプログラム)の2つが注目されています。
EP経験3年以上・月収RM15,000〜・長くマレーシアでキャリアを積みたいなら RP-T(費用を抑えつつ自由度アップ)
高い資産・収入があり、拠点分散・事業展開が目的なら PVIP(長期滞在義務なし・就労・起業が自由)
実際にマレーシアで仕事を見つけるためのプラットフォームを、日本人向けエージェント系・現地大手サイト系・グローバルSNS系の3タイプに分けて紹介します。
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