北海道に暮らしていると、時々「こんな場所にキツネが?」と驚くことがあります。特に札幌市中央区の円山エリアは、都会でありながら自然がすぐそばにあるため、夜道や早朝の散歩中にキツネとばったり遭遇することも珍しくありません。
本記事では、北海道に住むキツネの生態を紹介しつつ、住宅街に住むキツネの実態を詳しく解説します。「キツネはどこで寝て何を食べているのか?」という疑問に迫りながら、人間との距離感や共存の方法についても考えていきましょう。
見出し
北海道に住むキツネの基本的な生態
日本に生息するキツネは「ホンドギツネ」と「キタキツネ」
日本に生息するキツネは大きく2種類。「ホンドギツネ」は本州以南に、そして「キタキツネ」は北海道全域に生息しています。札幌市内や円山近郊で見られるのはもちろんキタキツネです。
キタキツネは赤茶色の体毛を持ち、冬はふさふさの毛皮に覆われているため、とても愛らしい見た目をしています。
キタキツネとは?
北海道に生息しているのは「キタキツネ」。本州などに生息する「ホンドギツネ」より体格がやや大きく、毛並みが濃い赤褐色で冬はふさふさの毛皮をまとっています。体長は60cm前後、体重は5〜8kgほどで、犬に似た姿をしています。
キタキツネは非常に適応力が高く、森林、草原、農地、そして都市部でも暮らすことができます。その柔軟性が「円山周辺の住宅街に現れるキツネ」を生み出しているのです。
行動パターン
キツネは薄明薄暮性(黄昏活動型)で、夜明けや夕暮れに活動が活発になります。ただし都市部のキツネは夜行性の傾向が強く、人間の目を避けるように夜中に出歩くことが多いです。
1日に移動する距離は数キロから10キロ以上に及び、円山公園から藻岩山、さらには豊平川沿いを伝って市内を移動する個体も確認されています。
行動範囲は意外と広い
野生のキタキツネは、1日に数キロから10キロ以上も移動します。森や草地を中心に生活しますが、餌を探して住宅街に現れることもあります。特に冬は食料が不足するため、人間の生活圏へ近づきやすくなるのです。
札幌市中央区の円山エリアは、円山動物園や円山公園、藻岩山など豊かな自然環境が隣接しており、キツネにとって格好の住処になっています。
森から住宅街まではわずか数百メートル。夜になると車道を横切る姿や、ゴミステーションを覗く姿が目撃されるのもそのためです。
住宅街に住むキツネの実態
円山でキツネが現れる理由
円山は「円山原始林」や「円山動物園」など自然が広く残っており、キツネにとっては餌や隠れ場所が豊富な理想的な環境です。
しかし自然エリアと住宅街が地続きになっているため、夜にちょっとした食べ物を探して住宅街に足を踏み入れる個体が増えています。
キツネはどこで寝ている?
住宅街で見られるキツネも、基本的には昼間に次のような場所で休んでいます。
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森林の斜面や倒木の下
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河川敷や藪の中に作られた巣穴
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住宅街近くの空き地や草むら
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建物の床下や資材置き場の隅
特に春先は子育てのため、土を掘って巣穴を作り、子ギツネと共に生活します。札幌市内でも、空き地の斜面や工事現場の土砂置き場などに巣が確認されることがあります。
キツネは何を食べている?
本来の食事は以下のように自然の恵みです。
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野ネズミ、リスなどの小型哺乳類
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野鳥やその卵
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昆虫やミミズ
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果実(ヤマブドウ、コクワの実など)
しかし住宅街に出没する個体は「人間由来の食べ物」にも依存する傾向が強まっています。
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ゴミステーションの生ごみ
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コンビニ弁当やパンの食べ残し
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ペットフード(猫や犬の餌)
これは「都市型キツネ」の典型的な行動で、食料を簡単に得られるため街中に住みつきやすくなるのです。
四季ごとのキツネの行動
春:子育てシーズン
3月〜5月は繁殖期。巣穴で子ギツネが誕生し、親ギツネがせっせと餌を運びます。
円山エリアでも「子ギツネの群れを見かけた」という目撃情報があり、カメラを持った市民が観察に訪れることも。
夏:夜行性が強まる
夏は昼間が暑いため、キツネは夜間の活動が中心になります。公園や川沿いを走り回る姿が確認され、住宅街では夜10時以降にゴミをあさるケースが増えます。
秋:食欲の秋
冬に備えて脂肪を蓄えるため、木の実や小動物を積極的に狩ります。円山公園周辺では、落ちた果実を食べている姿も見られます。
冬:雪と飢えのシーズン
最も厳しい時期で、食料が不足するため人間の生活圏に近づきやすくなります。真っ白な雪原に残る足跡は、住宅街に住む人が「昨夜キツネが来た」と気づくきっかけになります。
円山周辺での具体的な目撃例
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夜にコンビニの駐車場を歩いていた
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ゴミ出し場を覗いていた
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家の庭に足跡が残っていた
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子ギツネが道路を横断していた
住民の中には「犬と散歩していたら、遠くからこちらを見ていた」という体験談も。都市部でキツネに出会えるのは北海道ならではの光景といえるでしょう。
海外都市とキツネの関係比較
札幌だけでなく、世界各地で「都市型キツネ」が問題にもなっています。
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イギリス・ロンドン:住宅街の庭で子育てするキツネが増え、夜になるとゴミ箱を荒らす姿が一般的。
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ドイツ・ベルリン:公園や広場にキツネが住みつき、観光客の目を楽しませる存在にも。
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アメリカ・シカゴ:都市郊外でコヨーテやキツネが頻繁に目撃され、ペットを狙うケースも。
札幌の円山周辺も同じように「自然と都市が近接することでキツネが街に現れる」という共通点を持っています。
札幌市の取り組みと市民の意識
札幌市は、住宅街に現れるキツネとのトラブルを防ぐため、以下のような対策を行っています。
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エキノコックス症の啓発チラシ配布
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ゴミ出しマナーの呼びかけ
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学校での環境教育
市民側も「餌付けをしない」「見かけても触らない」という基本ルールを守ることが求められています。
キツネと共存するために知っておくべきこと
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エキノコックスに注意
寄生虫を媒介する可能性があるため、触らない・近寄らない。 -
餌付けをしない
食べ物を与えると、人間に依存してしまい事故や感染症リスクが高まります。 -
ゴミを正しく処理する
ゴミステーションをきちんと管理し、キツネが餌を得られない環境をつくる。
まとめ:住宅街に現れるキツネは「都市の隣人」
札幌市中央区・円山エリアで見られるキツネは、森と街が隣接する環境だからこそ出会える存在です。
彼らは森の斜面や茂みで休み、夜になると住宅街にやってきます。自然の食べ物を探す一方で、人間のゴミに依存する都市型の一面もあります。
大切なのは「適切な距離を保ち、共存の知恵を持つこと」。北海道に暮らすからこそ得られるユニークな出会いを、正しく理解しながら楽しんでいきましょう。
2016年にキツネとタヌキについて調べた記事があります。ご興味の方は読んでみてください♪