前回、日本‐フィリピン間のパートナーシップが将来に与える重要性に関して記載しました。
それに加え、私は国家組織や国際協力機構だけでなく、個人や民間からミクロの視点で直接的に貧困問題解決へアプローチをかけることが重要だと考えています。
今回は、国際協力の在り方―ボトムアップ式の援助の重要性―について私の意見を述べたいと思っております。
私たちは日本政府に税金を納め、日本政府は開発途上国や新興国が抱える飢餓や貧困という問題解決のために税金を使っております。
では、そもそも公的資金を用いたODA(政府開発援助)やNGO(非政府組織)などの国際協力は何のために行われるのでしょうか?
外務省によると「我が国ODAの目的は、国際社会の平和と発展に貢献し、これを通じて我が国の安全と繁栄の確保に資することである」と政府開発援助大綱に書かれています。
また、国際協力機構JICAは「世界には67億人の人口がおり、そのうち約10億人が飢餓(きが)や貧困に苦しんでいます。(中略)環境の悪化は、その国だけでなく、周囲の国、そして全世界に影響が及ぶことなのです。途上国の環境問題に日本が協力するということは、日本の環境を守ることと同じなのです。」と説明されています。
世界各国の国際NGOも国際協力を当事者の視点に立ち、開発途上国・新興国で活動を行っています。
しかしながら、本当に飢餓や貧困に苦しむ人々にその援助の手は行き届いているのでしょうか?
2014年9月、相棒Kojiと私はフィリピンの島々の一つ、ミンドロ島のNGOやODAの援助が行き届いていない地域を訪れました。
ミンドロ島とは私たちが体育館建設支援をしたいと考えている農業学校がある島です。
その地域は明るくポジティブなフィリピンとは思えないほど、
閉鎖的で暗い雰囲気が漂っていました。
食糧を買えないために子どもは栄養失調を抱え、
大人は定職がなく収入が安定していません。
ヤシで出来た家の床には土間がなく、ベッドにはマットレスがありません。私たちは村人に対してアンケート調査を行っていたのですが、何よりも驚いたのは「そこに住む人々のほとんどが、どのNGOもそこの地域では活動をしていない」ということを知っていたことです。
私たちは調査を通じて出会った人々から、NGOの協力がフィリピン農村部で大変感謝されていることを知っていたため、援助の行き届いていない地域の人々がそれを必要としていることを痛感しました。
では、なぜ私たちが訪れた地域ではNGOが活動を行っていないのでしょうか?
私が現地で知った理由は次の3点です、
①道路が分断されていて海路でしか行けない、
②インターネットと携帯電話が使えない、
③共産ゲリラが潜伏している可能性がある。
もちろん、援助側の安全を守ることが第一ですが、交通・情報インフラの未整備が理由で支援をできなければ本当に支援を必要としている人々に手を差し伸べることはできません。
一方、外務省やJICA、NGOが主張するように海外協力はすでに海外だけでなく日本にとっても重要だということは既に明白です。
そこで私が主張したいことは国家組織や国際協力団体だけでは本当に援助を必要としている人々に支援が行き届かないということです。
つまり、個人や民間からミクロの視点で直接的に貧困問題解決へアプローチをかけること―トップダウン式に加え、ボトムアップ式の援助―が必要です。
そのような援助がない限り、2014年に私たちが訪れたような地域は永遠に無くなりません。
「魚を与えれば一日の飢えをしのげるが、魚の釣りかたを教えれば一生の食を満たせる」 国際協力の場面で頻繁に使われる言葉です。
私も全く同感ですが、釣り方を教えるためには糸と針が必要だということも事実です。
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