こんにちは!海外レポートを書いているKunyです。
キューバ旅行記、今回はキューバのリゾートで感じた違和感についてレポートします。
2014年2月、キューバとアメリカの国交正常化交渉が始まる10カ月前に、私はキューバを訪れました。ベトナム、中国に続き私にとって3国目に訪れた社会主義国キューバ。その体験は中国ともベトナムとも大きく異なるものでした。
首都ハバナから東へ進んだ海岸沿いにあるバラデロ。そこは、24時間飲み放題・食べ放題のリゾートホテルが並ぶ夢のような場所。そこは、1年間住んでいたカナダとは別世界を私に体験させました。
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24時間飲み放題のホテルに着いた翌日、8:00に私は激しい頭痛と共に目覚めました。
ホテルにはいつでもコーヒーを飲めるラウンジがあり、
目覚めのコーヒーを飲みにラウンジへ、そこでコーヒーをオーダーしました。
カウンターの裏にはサーバーが一人、愛想良く仕事しています。
サービスの評判が良くないキューバですが、彼は客のオーダーに対してコーヒー、エスプレッソ、とカフェラテ3種のメニューを手際良く作っています。
朝のシャワーを浴びに部屋へ戻り、水しかでないシャワーを浴びます。
温暖な気候の国といえど、冷水シャワーは心地よくありません。
ガタガタ震えながら、水シャワーを我慢しました。
そのあと気が付いたことは、洗面所はなぜかお湯がでるんですね。
なんでやねん!と思いました。
朝食を食べにビッフェへ。
人気の目玉焼きは長蛇の列。目玉焼きに入れる玉ねぎやチーズなど4種類の具を選べます。
それをさばくように一人のシェフがひたむきに調理しています。
たまごをひっくり返す時に熱いたまごが飛び、それを列に並んでいる子供がかわします。
私はコークを飲みたかったけどグラスがありません、
ウエイトレスに尋ねると彼女は「ちょっとまって」と言い残し奥へ行きました
...しばらく待つと洗いたての水滴が残るグラスが運ばれてきました。
モノ不足は本当に深刻だ。
ホテルでさえ、グラスが足りていないのです。
物不足を象徴するように、キューバでは先進国で昔使われていたものを大事に使っています。
旧式の自動ソフトドリンクサーバーからコークを出そうとしたら水が出てきました。
オレンジ、メロン、アップル、コークを出すボタンがありますが、どうやら4つのソフトドリンクサーバーの中身は全部水らしい。
私は代わりにフレッシュフルーツジュースを試しました。自動のサーバーから注がれるソフトドリンクより、南国で取れるフルーツを絞ったジュースは本当に新鮮でした。
社会主義。それは公共サービスの最大化とは紋切り型の製品を大量生産できる強みがある一方、単一の製品を用途に応じて生産することが苦手。メニューもパン、肉、野菜。飲み物はビールばかりです。
そこでふと思いました、このホテルの従業員は良く働いていると。確かにホテルなどの観光産業は資本主義の国と関係していて良いサービスを提供すべく環境ではありますが、社会主義が理由で他のホテルと競争する必要はありません。
いくら一生懸命働いても給料は隣のホテルと変わらないはずなのに親切でとても一生懸命働く目的は客からもらうチップ、あるいは「満足してもらいたい」という純粋な欲求、または長期的な生活水準の向上を目指してなのか。
この3つのいずれかはわかりませんが良く働いていると思いました。
当然、客の中にはホテルのサービスや設備に文句を言う人がいますが、その国の主義や思想を考慮するべきだと思います。社会主義のアドバンテージは食べ物や手工業製品に不足することなく貧困の底上げをできるところでしょう。
しかし、地下資源等に支えられる資本力が無い限り、重工業やサービス産業、規模の大きい産業は育ちにくいのです。キューバの場合、ニッケルなど鉱物資源はありますが、燃料や機械、工業・機械製品は輸入に頼るしかない産業構造を持ち、かつ自国の通貨が相対的に安いために購買力が低いという二重苦が、物不足の原因だろうと思いました。
したがってむやみにその国のサービスや備品について文句を言うものではないでしょう。
リゾートホテルでさえライトやエレベーターが壊れています。資本主義では壊れるものを直す仕事をする人が金銭をもらって直します。しかしここでは、きっと代用できるものや、すぐに直す必要のないものを後回しにするのでしょう。理由は、専門に特化した修理屋がいないから、個人で修理する力に頼っているのではないでしょうか。
つまり、社会主義の思想は「みんなで生む」ことであり、そこに「壊す人」が加味されていない理想論的な点が浮かび上がります。資本主義社会では誰かが壊しても誰かが作る仕組みができています。直して利用したいという需要に基づいて修理というサービスが供給される市場原理が働いているからです。社会主義である以上、国民が一致団結して全体を向上させる国づくりが必要不可欠だ。そう天気の良いバルコニーでのら猫と朝食を取りながら思いました。
ホテルの中央には大きな庭があります。庭師がライターを貸してくれと私に訪ね、彼にライターを貸して世間話をしていると「ココナッツ好きか?」と言われて「好きだ」と言うとオレンジか青かと聞かれました。
その時は良くわからなかったのですがココナッツには2種類あるらしいのです。男はアミーゴを呼んで彼にココナッツを取るように言いました。
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男はココナッツを一つもぎ取り私が話しかけるとNo Englishと言って立ち去りました。庭師は「また戻る」と言って走り去ったがいつまでたっても戻ってきません。芝生の上のココナッツを眺めながら待っていると、庭師は大きなナイフを持って戻ってきました。再び彼はアミーゴを呼んで、ココナッツを切ってくれました。
「バーに行ってストローをもらって飲め」彼は私に言います。
私はこういうものをホスピタリティーと呼ぶのだと思いながらココナッツジュースを飲みました。
シャワーも食事もコーヒーも済ませ一次欲求を満たしました。目的を達成することが旅の完成度を上げるのですが、私はそのホテルをとても窮屈に感じました。その正体は、キューバにいるというよりビールも食事も低次欲求を満たすものがすべてそろっているホテルという牢獄にいるような感覚。あるいは本当のキューバを隠すように作られた張りぼてのような違和感。ゲバラやカストロが作った国を知るために来た私は、どうしても外に出たくて、歩いて町まで行こうと考えたましたが、フロントで無理だと言われ仕方なくタクシーを用意してもらいました。
タクシーに乗るときにタバコ吸っても大丈夫かと運転手聞くと問題ないと運転手が言うのでタバコに火を付けました。一呼吸置いて、「私はゲバラを尊敬していて社会主義について聞きたいんですが、キューバ人は一生懸命働いて政府にお金を収めた後、どの国民も同じ給料をもらうんですか?」と聞きましたが英語がわからないと言われました。
アメリカと対立関係のキューバでは英語は他の国のように機能しません。英語表記の看板を例にとれば、そこに記されている言語を示す国旗はアメリカではなくイギリスです。「アメリカの喉元に 突きつけられたナイフ」と比喩されるキューバ、フロリダ海峡を隔てて145km北にあるアメリカと経済的な繋がりが本当に弱いことを実感します。
車内に灰皿が無いとわかり、「吸い終わったタバコはどうすればいい?」と聞くと外に捨てて大丈夫だと彼は言います。正直、複雑な気分でそうしました。誰かが捨てれば誰かが拾わないといけないから、社会主義的には良くないのですが。市場メカニズムが働く資本主義と異なり、誰かが拾うためにお金を使うと皆が費用を負担しないといけないのが社会主義。
30分乗ったタクシーを降りるときに私が「ビバキューバ!」と言うと運転手は、「ビバカナダ!」と言ってくれましたが、そう言えば私は日本から来たと言い忘れていました。(^_^;)
次回はリゾートを離れバラデロの市街地へ行きました。
しかし、そこでも私が見たことの無い少し不思議な街並みが広がっていました。
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